【音盤的日々 209】 THELONIOUS MONK / THE UNIQUE
2009年 01月 24日
CDを買い始めた30代前半というのは、ぼくの中ではジャズが聴けなくなっていた時代だった。いや、音楽自体にあまり感じなくなってしまっていた。少年サッカーに入れあげていた時代が終わって、田舎暮らしが始まり、さて音楽でも聴こうとしたが、あんなに好きだったジャズが面白くない。感性が鈍ったのか。少年時代に遡って、分かりやすい音楽からもう一度聴き始めた。
そんな時だから、このモンクも、あまりいい印象がない。売ろうかと思ったこともある。こんな変てこな音楽も若い頃は面白がって聴いていたよなあ、そんな風に思えたものだった。
今日久しぶりにこれを引っ張り出して聴いてみると、ずいぶんいい感じだ。録音は1956年。モノラルのようだ。モンクとしてはリバーサイドでの2作目である。全編スタンダード集で、その前はエリントン集だったから、どうして早くオリジナルをもっと入れさせなかったのかと、ジャズ史では評判が悪い。ロリンズやコルトレーンと共演して名盤を連発するのはこの後だ。
だがなかなか面白い。特に「ダーン・ザット・ドリーム」がいい。ソロによる訥々とした「メモリーズ・オブ・ユー」も味わいがあるし、「ユー・アー・トゥー・ビューティフル」もしみじみと弾いている。
英文ライナーを見ると、"very personal treatments of great standards"とある。スタンダードの「超個性的解釈」というわけだろう。スタンダードを弾こうが、やっぱりモンクは強烈にモンクだ。音も、ピアノの音がジャズらしい響きがする。モンクもやっぱりいいなあ。そんな風にまた思わせてくれたのも、やはりこの音かな。装置の交替がもたらしてくれたくれたものは、予想以上に大きいのかもという気がしてきた。
by pororompa | 2009-01-24 22:38 | 音盤的日々 | Comments(0)