【音盤的日々 182】 KENNY BURRELL / A NIGHT AT THE VANGUARD
2008年 07月 27日
このジャケットのように部屋を暗くして聴いた。地球にはすまないが冷房も入れさせてもらおう。ビールはもう飲み干した。タバコはやめてもう25年経つが、時折吸いたくなる。こんな晩とかだ。ヒステリックなタバコ吸い叩きには加わりたくない。どこかから煙の臭いが流れてくる、「ちょい不健康」な空間は好きだ。
「I'm a Fool to Want You」というバラードが流れ出す。これを聴く度に、日本の流行歌みたいな歌だと思う。実際こういう歌なかったっけ。題からしてそんな感じだ。直訳すれば「あなたが欲しいだけの馬鹿」。「わたしーはばかよー、あなたーを待つのー」、昔なら青江美奈とか歌っていそうだ。
「恋は愚かというけれど」なんて邦題がすでに付いていて、ビリー・ホリデイなんぞがすでに歌っていたりするけれど、ケニー・バレルは歌謡曲っぽくしっとりとギターで歌ってくれる。そこがいい。
ギター・トリオというフォーマットのせいか、ドラムが前に出てくる。誰だろうと見たら、ロイ・ヘインズだった。これはフォーマットというより、この人のスタイルか。でも、コンガとか使いたがるバレルのバックを、そんな雰囲気をドラムだけで出しながら、一人で持たせているのは、さすがと言う感じがする。
一転してモンクの「Will You Need'nt」が鳴り出した。これが案外似合っている。アルバムのアクセントにもなっている。ヘインズもいっそう前に出て、インター・プレイが楽しいが、全体の雰囲気は壊さず上手に盛り上げる。
客は終始静かだ。アメリカのライブはみんな客がはじけたり、聴いていなくて騒々しかったりするのかと思ったが、この時代に「ケニー・バレル・トリオ」を選んだ客は、静かに燃えたい客ばかりだったに違いない。
久しぶりに聴いたけど、ケニー・バレルもいいな。試聴して、似た傾向の「Kenny Burrell / Round Midnight」を注文した。
by pororompa | 2008-07-27 22:54 | 音盤的日々 | Comments(0)