【音盤的日々 137】 DEXTER GORDON / OUR MAN IN PARIS
2007年 10月 28日
だが、インターネットもやめとこう。この所休みがこればっかりで、半ば依存症だ。コーヒーでも淹れて、昨日図書館で借りた本を読みながらジャズでも聴こう。ここ数ヶ月は市立図書館から借り続けていたが、久しぶりの県立図書館に、それも自転車で行ってみた。図書館が近くにあるということは恵まれている。コーヒーもそのついでに買ってきたものだ。元々「違いが分からない男」だったんだが、何気なく寄った近所のコーヒー豆屋で買った豆で淹れたら、それが癖になってしまって、最近は毎週その高い豆を買っている。下手に違いが分かったりすると不幸なのかもしれん。
借りてきた本は5冊、今国語で教えている宮沢賢治の軽い研究書に、米兵達がマイケル・ムーアに送った手紙集、そして打ち込み関係のアレンジ解説書。それから、イタリア人記者が書いた「セリエAに挑戦した日本人達」のレポート。これはなかなかシビアで面白くて夜中まで読んでしまった。あと一冊は、ジャズ評論家小川隆夫氏が、いろんなジャズメンに、いわゆる「名盤」を聴かせて感想を聞くインタビュー集。これがまたどこからでも読めてなかなか興味深い。これを読みながらデクスターの「アワ・マン・イン・パリス」を聴くことにする。
さて、デクスター・ゴードン。これも昨日、立ち寄ったタワレコで「2割引」に負けて買った一枚だ。これと、前回書いたペッパーと、エバンスの「モントルー3」、3枚で3000円以下だった。
しかし安さに釣られるのも考えものだな。この夏がそうだ。いろいろ買った割にはあんまり聴きたいものがない。CDの棚が窮屈になっただけという気もする。そう思いながらも、出かける前には頭になかったような盤を、安さに釣られて買ってしまっている。とは言え、これはある程度定評のある盤ではある。「GO!」がよかったのでいずれは手にする盤だった。もっとも、定評があれば気に入るというものでもない。
1曲目、パーカー・ナンバー。んん・・・何か違うなあ・・・。2曲目の「ウィロー・ウィープ・フォー・ミー」。やっぱ、買うほどもなかったなあ、などと思いながら、コーヒーを淹れ終わり、どっかと腰を落ち着けて、音量もたっぷりに聴く。
うん?・・・。何かいいね。ジャズの音だよね。真っ正直というか、飾り気のないような図太い音が、急にすっと入り込んできた。見ると、「RVGエディション」とある。関係あるのかなあ。ぼろスピーカーが、ちゃんとジャズのサックスやベースの音を出している。4曲目のバラード、「ステアウェイ・ツー・ザ・スターズ」。いい。やはりこれは名盤か。5曲目の8分間にわたる「チュニジアの夜」はさすがにしんどかろうと思えば、これがまたいいのだ。
ここまで来てピアノを見たら、バド・パウエル。そうか、パウエルか。抜け殻と化していたと言われる晩年のパウエルだが、どうしてどうして、黙って脇役には収まっていない。ラスト曲では、主役抜きでトリオ演奏まで始めた。これがまた素晴らしい。乾いた、ほんの少しひんやりした空気、苦いコーヒー、いい本、ジャズの音。ズブズブと、あちら側の世界へ引きずり込む。日常に埋もれて忘れている、ジャズ好きなら分かるあの世界に。
気持ちよい余韻を感じながらうたた寝をしてしまっていた。そう言えば野球はと思って調べると、何と4時間をとうに過ぎても決着がついていなかった。なんちゅうスポーツじゃ。腹一杯楽の音を堪能して幸せ、時間の無駄遣いをせんでよかったと思った日曜日だった。
それにしても、普段オーディオには興味が薄いぼくだが、もう少しいい音で聴いたら惚れ直す盤もあるかもという気持ちが頭をかすめる。「違いが分からない男」の方が幸せなのか、それとも違いを知る世界に深くはまっていこうか、コーヒーをお代わりしながら思うのだった。
by pororompa | 2007-10-28 16:35 | 音盤的日々 | Comments(2)
パド・パウエルはウンポコローコがやたらはいってるやつだけを聴いて挫折したまんまです。いつか聴くとは思うんですが、「偉大な〜」とかいわれると、なぜか構えてしまうんですよね。
あと、偶然なんですが、宮沢賢治が生まれ育った花巻へ、このあいだ行ってきましたよ。記念館もあるんですが、それよりも花巻周辺の田園風景が素晴らしかったです。少し写真もとりました。↓
http://picasaweb.google.com/siwapuri/bzfMV
それから、またまた斎藤哲夫のライヴもいってきました。
なんと「いまのキミは〜」も演奏されましたよ。ライヴのあとはサインをもらいまくりました。
パウエルは、「ウンポコロコ」は確かにちょっとくどいかもしれませんが、クレオパトラの第5集と、第3集「タイム・ウェイツ」、ヴァーヴの「ジャズ・ジャイアント」あたりは好きです。
宮沢賢治、今まで軽く見ていたわけではないんですけど、子どもたち前で「よだかの星」と「なめとこ山の熊」というのを朗読したら、何か自分の中にガツンと手応えがありました。写真拝見しますね。
東北一度も行ったことがないんですよね。南国人なので、雪に囲まれて囲炉裏にでもあたりたいみたいな、甘い幻想があります。行ったら震え上がってすぐ帰りそうですけど。
斉藤哲夫は若い頃名古屋のヤマハで聴いたきりです。もう一度聴くチャンスがあるといいがと思ってます。