ショコラ
2007年 06月 30日
渋い作りのその映画は奇妙な雰囲気を漂わせていて、ぼくは消そうにも続きが気になった。フランスが舞台で、雰囲気もフランス映画のようだったが、言葉は英語だった。「因習で凝り固まったフランスの村にやって来たチョコレート屋が、村の雰囲気を変えてしまう」というストーリーのようだ。そんな設定も興味を引いたが、何より物語の語り口がうまくてどんどん引き込まれる。
主人公のチョコレート屋の女主人もいいが、偏屈な婆さんだとか、秘かに通う絵のうまい少年、夫の暴力から逃げてきた女性、それにいい感じで育った女主人の娘、出てくる脇役がみんな存在感があっていい。そして途中から出てくるジプシーのギター弾きの男、この人は売れっ子の男優らしいがこれがまた映画に華やかさを出す。音楽もいい。ジプシーの男が登場する時弾いている渋いスライド・ギター。そして主人公と初めて踊るシーンが、ジャンゴ・ラインハルトで有名な「マイナー・スウィング」。「キャラバン」も効果的に流れる。
それでも最後まで気になったのは、頑固な悪役の伯爵をどうするのか、ハッピー・エンドにするには、どういう展開にすれば説得力があるのかということだったが、それにもチョコレートが関係していた。この場面は一番印象的で、一番笑ったが、これから観る人のために書かないでおこう。
たまたま観た映画だが、素晴らしく良かった。素晴らしい映画を観た時の感動は、音楽ファンとしては悔しいが、音楽のそれよりも大きいかもしれない。ぼくは、余韻が壊れないようにすぐテレビを消した。
by pororompa | 2007-06-30 23:04 | たまには映画を | Comments(0)