【音盤的日々396】遠藤賢司 / 嘆きのウクレレ
2017年 12月 30日
遠藤賢司が亡くなったらしい。ふと一人になった時間にこれを引っ張り出して聴く。
ぼくは同時代にこれを聴いていた。その時のぼくはフォーク少年。「満足できるかな」の次の作品がこれだった。「猫と僕と君」なんか手癖みたいに弾ける。ぼくはある部分、強く影響を受けているかもしれない。とても付いていけない狂気のような部分もある人ではあったが。
静と動の人でもある。この中の3曲目と4曲目で、激しい情念がほとばしるが、中学生にはよく分からなかった。今聴いてもよく分からない世界が、絶叫の内に展開される。この辺はあまり触らないようにして聴いていた。
LPではB面の2曲が、ぼそぼそと呟くように弾き語る。これがいい。特に「いつの間にか雨が」。いつの間にか雨が降りそうな日なんかに黙って聴こう。じわっとくる。猫好きならもっとだ。
最後のベートーベンには驚くが、1曲目の軽さにしても別にふざけているのではないということが、この人を知るほどに分かってくる。島倉千代子を絶賛していたが、ジャンルでどうのという感覚がない。純粋すぎるほど純粋な人なのだ。
それにしても50年か。50年経っても古びていない。それは時を超えた純粋な作品だったからだと思う。合掌。
by pororompa | 2017-12-30 15:41 | 音盤的日々 | Comments(0)