【音盤的日々395】EUGEN CICERO TRIO / SPRING SONG
2017年 12月 10日
オイゲン・キケロという人は、昔からクラシックを巧みにジャズ化して弾くことで知られているが、ジャズ界ではどこか軽く見られている人だ。かと言って正面から馬鹿にする人もあまり見かけないのは、やはりこのうまさというか、ジャズ的なノリのよさが抜群なためだろう。
とにかくうまいのはうまい。クラシックをジャズ化するといっても、よくあるような、ただ題材がクラシック曲で、始まったら普通のジャズというのでもない、どこか原曲の雰囲気というか、香りのようなものは漂わせている。けれどもインプロヴィゼーションは抜群で、快くスウィングする様はジャズの楽しさに直結している。つまりはどちらのジャンルもうまいわけだ。
この人はクラシック弾きで、天才児や神童の扱いだったのが、ジャズを耳にしてこっちの道に進んできたという人だそうな。ある意味ヨーロッパらしいというか、最もヨーロッパ的なジャズ・ミュージシャンじゃなかろうか。
スウィングしているのはベースやドラムの貢献も大きい。ジョン・クレイトンにビリー・ヒギンズ。ここはアメリカの黒人ミュージシャン勢がしっかり務めている。
ところでこのCD、ひどく古い。1984年というからまだCDの初期である。でも音はいい。見ると、3800円と書いてあるではないか。高い。それでも30年以上も経ってこんな立派な音を奏でているのだから許そう。
by pororompa | 2017-12-10 11:28 | 音盤的日々 | Comments(0)