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semスキン用のアイコン01 【音盤的日々 262】 EARL HINES / HERE COMES EARL "FATHA" HINES  semスキン用のアイコン02

  

2010年 07月 25日

【音盤的日々 262】 EARL HINES / HERE COMES EARL \"FATHA\" HINES _e0006692_1546244.jpg すっかり音楽を聴く心を失っていた。ゆとりはあったのだが、ゆとりだけあってもだめなものである。音楽を聴ける心に戻るには、安心して聴ける名盤中の名盤を聴くのがよい。御大アール・ハインズが、エルビン・ジョーンズとリチャード・デイビスを従えて、圧倒的にスウィングしまくるこのピアノ・トリオを選んだ。

 暑いままではジャズは聴く気になれない。エアコンの冷気を感じ、アイス・コーヒーを淹れ、4ビートのリズムに身を浸すと、ようやくメロディの流れに乗ろうという気持ちになる。

 LP時代の愛聴盤の中にも、片面ばかり聴いていたというものがある。このアルバムもそうだ。CD化したもので聴き直すと、明るいA面も悪くないが、愁いを含みつつ快走するB面の3曲が素晴しい。

 まずは、「スタンレー・スティーマー」。何度聴いても素晴らしい演奏だ。ミディアム・テンポで次々に繰り出されるマイナーの調べを聴けば、だてに「ジャズ・ピアノの父」と呼ばれているわけではないことがよく分かる。

 テンポをぐっと上げた次の「バーニーズ・チューン」に入ると、御大はエルビンのブラッシ・ワークに刺激されていっそう凄みを増す。しかしエルビンも、うまいねえ。ここでは決して主役を食うようなことはしていないんだけど、この切れ味、絶妙のアクセントが、「父ちゃん」を本気にさせている。そしてハインズも、うまいねえ。名人が名人を刺激して丁々発止と渡り合う。この組合わせでよくぞ録ってくれたものだ。

 ラストは「ドリームズ・オブ・ユー」でリラックスして終わる。聴いた後の、なんちゅうか、余韻。ああ、ジャズっていいなあ、この世の中には、まだまだ味わい尽くしていない果実が、たわわに残っているんだなあ、そんな気持ちにさせられた。
【音盤的日々 262】 EARL HINES / HERE COMES EARL \"FATHA\" HINES _e0006692_16211152.gif

*YouTube Earl Hines Trio "Dreams of You"

by pororompa | 2010-07-25 16:21 | 音盤的日々 | Comments(0)