【音盤的日々 233】 MICHAEL JACKSON / DANGEROUS
2009年 06月 27日
ぼくは今日、帰りの車の中で、誰か有名な人、例えば陽水あたりに何かが起きていたりするような、嫌な気がした。帰ってみたら、マイケルだ。もちろんそれは偶然だ。しかし、霊とか「何々の知らせ」とか信じたりするような人なら、きっと大騒ぎしてしまうに違いない。気味の悪い偶然だった。
ぼくはマイケルのファンだった。マイケルの天才をぼくは信じている。よくマイケルを聴いていたのは我が家の子どもたちが幼い頃だったので、子どもたちにも強い影響を与えている。「BAD」を真似て、「アンベー、アンベー」と狂ったように歌い踊る、当時保育園児の長男の姿がビデオに残っている。とにかく、あの強烈なプロモビデオ集を繰り返し観たのだからしょうがない。そりゃあなるわな。
「スリラー」「バッド」「デンジャラス」、これがマイケルの3大傑作アルバムだとぼくは思う。「オフ・ザ・ウォール」もあるけどちょっと落ちるかな。考えてみるとこの人はあまり作品の多い人ではない。でもそれを感じさせないほどインパクトが強い作品揃いである。
その中でも「デンジャラス」は、リアル・タイムで発売時に買って繰り返し聴いた思い出のアルバムだ。プロモの印象が強い「ブラック・オア・ホワイト」や「リメンバー・ザ・タイム」、クールな「イン・ザ・クローゼット」、最初はよく分からなかったがだんだん名曲と思うようになったバラード「ヒール・ザ・ワールド」、そして「ディンジャラス~」と思わず歌ってしまいそうなタイトル曲。どれも忘れ難い。
ところが今日改めて聴き直してみると、聴き覚えのない曲がいくつかあるので驚いた。それで思い出したのは、ぼくはこのCDから好きな歌だけ抜粋してカセットに入れて聴いていたのだった。それでも十分アルバムを堪能した気がしたのは、この作品からCD時代に入っていて全体が77分もあるので、2,3曲とばしたぐらいが聴くにはちょうどいいのだ。元々ぼくはディスコ・ミュージックが嫌いで、打ち込みの音にも今よりずっと抵抗があった。マイケルを聴く中でだんだんなじんでいったのだが、このアルバムも最初はそういう部分がきつすぎる曲はなじめず、カットして聴いていたのだ。それに1曲が長すぎて凝りすぎの部分もある。このアルバムはLPで凝縮していたなら、もっと密度の濃い作品になったのではないだろうか。
ところで、世間ではマイケルと言えばまず踊りで、ぼくもそれは凄いと思うのだが、それよりもぼくはまず歌のうまさに惹かれる。映像がなくても、マイケルは十分楽しめるとぼくは思う。映像で有名になり、見かけで苦しんだ彼だが、純粋な音楽的天分は、昔の時代の方がもっと鮮明になったかも知れないと思うのだ。でも、映像を観ると、やっぱりその凄さにうなってしまうね。やはり踊りあってのマイケルなのだろう。それは分かっているけど、もっともっとマイケルの歌について語られてもいい。
ああ、もっともっと花開いたかも知れない才能。稀代の天才の早過ぎる死が残念でならない。「イン・ザ・クローゼット」の物悲しいサビを聴きながらそんな感情がこみ上げてくる。
*Michael Jackson - In The Closet(YouTube)
by pororompa | 2009-06-27 15:21 | 音盤的日々 | Comments(0)