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semスキン用のアイコン01 【音盤的日々 218】 下田逸郎 / 花よ鳥よ風よ月よ semスキン用のアイコン02

  

2009年 02月 28日

e0006692_2255779.jpg 正直に言うとこのCDは売り飛ばそうと思っていた。「売却予定盤」から「四つ星半」に評価が急変した珍しい盤である。

 とにかくこの声と歌い方はあまりにも個性的で強烈だ。最初買って聴いた時、「何じゃこりゃあ」と思った。そんなこと知らなくて買ったのかと思うかもしれないが、テレビで聴いた時はそれほど違和感はなかったのである。

 テレビで聴いたその歌というのは、彼の代表作である「セクシィ」。「子供みたいに笑うあなたが 急に黙ってセクシィ…」。アダルトな曲である。そして名曲だ。性愛をテーマにした文芸仕立ての日本映画のラストシーンで、実に印象的にその歌は流れた。

 実を言うと下田逸郎の名前だけは'70年代から知ってはいたのである。何しろ'60年代から歌っていた人である。だが名前だけで実際歌を聴いたことはなかった。浅川マキや三上寛など、いろいろな「異端」や「個性」がひしめいていたあの'70年代にあっても、この独特な世界が表舞台に出てくることはあまりなかったのだろうかとも思ったが、若い頃の歌声を聴いてみると、今ほど特異な感じではない。しかし、何も知らずにいきなりこのアルバムを聴いて、「何じゃこりゃあ」となったのだった。

 その「何じゃこりゃあ」がどうして急上昇したかというと、車に取り付けたCDプレーヤーがMP3も聴けるタイプだったことと関係がある。とにかく何でもかんでも、日本語の歌を何百曲も詰め込んで、ランダムで聴いて楽しむ盤を作った時、たまに飛び出すこのアルバムからの曲が、鮮やかに光彩を放っていたのである。曲としての完成度がどの歌も高くて味わい深い。それに癖の強い歌い方も、慣れてくると嫌にならない。それどころか味があると思えてくる。例えて言うなら、初めて納豆を食った西洋人が、食う内に好きになって、しまいにはハマってきたような感じか。

 歌の題材はどれも濃厚な大人の色恋沙汰だ。でも演歌的な世界からはちょっと距離がある。フォークでもなければロックでもない。こういう大人のためのポップスの市場が熟成していないこの国で、強烈に個性的な歌い方なのだから、なるほどそれほど表舞台で見かけないのも無理はない。だが熱烈なファンはいるに違いない。

 それから、今日ジャケットを見ながらじっくり聴いて気付いたのだが、バックがいい。特にこのねちっこい歌に絡みつくようなアコーディオンが絶品だ。見るとフランス人っぽい名前が並んでいるが、5曲がパリ録音だという。わざわざフランスまでいかなくてもと思うが、このアコーディオンの音が欲しかったのかもしれない。

 ところで、この人の経歴を見て驚いたのが、「宮崎県出身」とあることだ。よく読むと、生まれたのが宮崎というだけで、育ったのは東京のようだが、この力の抜け方はわが郷土の人かなという気がしないでもない。
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下田逸郎「セクシィ」(Youtube)

by pororompa | 2009-02-28 22:52 | 音盤的日々 | Trackback | Comments(0)

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