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semスキン用のアイコン01 【音盤的日々 213】 NEW YORK TRIO / THE THINGS WE DID LAST SUMMER semスキン用のアイコン02

  

2009年 02月 08日

e0006692_2014406.jpg ヴィーナスの1枚はビル・シャーラップのトリオである。「チャーラップ」として知られているが、「シャーラップ」が正しい発音に近いようだ。

 ぼくのジャズの知識は大体'70年代ぐらいで止まっているが、近年のジャズもぼちぼちと聴いているので少しずつ事情は分かってきた。ジャズ・ミュージシャンを両親に持つというこのアメリカの若手ピアニストの評判はぼくも知っていた。何か1枚と思って選んだのがこれである。結論から言えば今一つ期待外れだったが、聴き所がないわけではなく、このピアニストについて失望する所までは行かなかった。

 ニューヨーク・トリオという名義は、契約の関係で「ビル・チャーラップ・トリオ」と出せなかったヴィーナス・レコードが付けたものである。アルバム・タイトルの「THE THINGS WE DID LAST SUMMER」は単なる曲名でもあるわけだが、「過ぎし夏の想い出」と訳して何となく全体のアルバム・コンセプトも暗示する役割も果たしている。全体にバラード主体のアルバムだ。ジャケットもそれを意識したのだろうが、何となく野暮ったいデザインだ。どうもヴィーナスはジャケットが好きになれないものが多い。このアルバムのジャケットは下品とまでは言えないし、取り立てて「エロ」でもないけれど、何となく安っぽいラテン・アルバムみたいなジャケットである。ただ、楽譜を散りばめた内側や裏の装丁は悪くない。

 アルバムは意外にもソロで始まる。曲は「いそしぎ」。当人が望んだことだというが、これは悪くない。もう一つ中間にソロで「モナ・リザ」が入っているが、このほとんどテーマのみの短いソロ演奏が、皮肉にもこのアルバム中で一番よかった。慌てずメロディーをじっくり歌うし、この世代にしては相当古い歌を知っている感じだが、母親がジャズ歌手であったというからその影響だろうか。キースの「The Melody at Night, With You」みたいなソロ・アルバムを作っても面白いと思う。

 アップ・テンポでも趣味よくスウィングする。ヨーロッパのピアノ弾きよりもドライブ感があるような気がするし、なるほど期待の若手だということはよく分かった。アドリブのラインもメロディアスでいい感じだ。ただ、ライナーで寺島氏が「原曲から外れないアドリブ」が「盲点をついた」などと興奮した筆致で書いているが、「テーマティック・インプロビゼーション」なんてそれこそ何十年も昔からジョン・ルイスなどが言っているし、「盲点」でも何でもない。この人はジャズ界の「呼び込み人」みたいなもので、ジャズ界をにぎやかにした功績は認めるけれど、それだけだ。

 このピアニストがセンスある弾き手だということは、大いに感じるわけだが、ではこのアルバムで何が不満かというと、一番はドラムである。ビル・スチュワートというこのドラマー、若くて勢いはあるのかもしれないが、大味な感じでどうも好きになれない。特にラス前の8分もある曲でチンチキ叩くライド・シンバルがげんなりする。シャワシャワとやるブラシ・ワークも細やかさに欠ける気がする。その点ベースは重厚な感じでなかなかいい。ジェイ・レオンハート。写真で見るともうベテランだ。

 そしてアルバムの構成。バラード集というコンセプトはあったのかもしれないが、8分も9分もあるような曲をもう少しすっきりさせて、ミディアムテンポの曲を1つ2つ追加したら、もっとよくなったのではないか。ドラムの音ももう少し抑え気味に入れて、ジャケットをセンスよくしたら印象はかなり違ったと思う。
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by pororompa | 2009-02-08 21:20 | 音盤的日々 | Trackback | Comments(0)

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