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semスキン用のアイコン01 【音盤的日々 204】 高田渡 / FISHIN’ ON SUNDAY semスキン用のアイコン02

  

2009年 01月 03日

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2009年 明けましておめでとうございます。どんな方が読んでくださっているのか分
かりませんが、たまに読んでくださっている皆さん、ありがとうございます。今年も、週
一、二回ぐらいの更新でのんびりと書いていくつもりです。どうぞよろしくお願いします。
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【音盤的日々 204】 高田渡 / FISHIN’ ON SUNDAY_e0006692_14432430.jpg その日何を聴くかは、半分くじ引きのようなものだ。実際、目をつぶって棚から一つ抜き出すこともある。曲をシャッフルで聴くことが一般化している時代だし、偶然性に選曲してもらうのもたまには楽しい。

 出かける前は、新年一番の書き込みを高田渡にするとか全然考えていなかった。預かっていた甥っ子のつきあいで、近所のブック・オフに久しぶりに行ってみて、2枚買った内の1枚がこれである。古くから高田渡ファンのぼくだが、これは持っていなかった。買おうとは思っていた。ずっとAMAZONのカゴに入っていた。

 高田渡は、ベルウッドの3部作。いつの時代でも彼は人間としては面白かったし、晩年のリバイバルにぼくも拍手を送ったが、冷静に見るなら、フォーク・シンガーとしての彼はベルウッドの3部作を作った20代前半で燃え尽きていたとぼくは感じていた。それでもぼくは、忘れ去られていた時代の作品を買おうとはした。でも、'80年代の「ねこのねごと」がかなり厳しかったので、このアルバムまで手を伸ばす気がなかなか起きなかった。

 日向までの長い行き帰りに、車の中で二度三度とこのアルバムを聴く。思ったより勢いがある。覇気と言ったらいいのか。少なくとも「ねこのねごと」よりははるかに力強い。帰り着いてぼくはライナーノートをよく見た。発表は1976年。「ねこのねごと」が1983年だからそれより7年前。そして、最後の傑作「石」から3年後だ。次の年の77年にヒルトップ・ストリングスバンドと「ヴァーボン・ストリート・ブルース」を出している。

 この1976年という年がどんな年だったか。ぼく自身の好みは急速にジャズへと変化し、フォークなどをバカにして聴かなくなっていった。世間でもフォーク・ブームは質の悪いものに取って代わられ、フォークそのものも急激に勢いを失っていった。それでも20代後半の高田渡には、まだまだ何かを創り出そうという気持ちが漲っていたようだ。

 それにしてもCDから出てくる音はずいぶん力強い。細野春臣や中川イサトを連れてアメリカまで録りに行っている。高田渡自身もがっしりとギターを弾いているし、曲調も短調やブルースが増えて広がりを見せている。いったいどんな人が作ったのかと思い見ると、プロデューサーはご本人になっているが、ディレクターに「三浦光紀」の名前を見つけた。「ベルウッド」で数々の名作を作ったあの三浦氏が作っていたのだ。この人こそが本当のプロデューサーに違いない。ぼくは大いに納得した。若き高田渡の、まだ消えていない情熱を大事に記録したその仕事ぶりこそ、もっともっと讃えられてよい。

 それらへの敬意も込めて。
【音盤的日々 204】 高田渡 / FISHIN’ ON SUNDAY_e0006692_17574117.gif

by pororompa | 2009-01-03 17:55 | 音盤的日々 | Comments(0)