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semスキン用のアイコン01 【音盤的日々 194】 浅川マキ / 裏窓 semスキン用のアイコン02

  

2008年 10月 26日

e0006692_21561888.jpg 長袖のトレーナーを着ていても少し肌寒さを感じた。昨日までは半袖でも平気だったのだが。来週辺りは衣替えをせねばなるまい。

 息子の書いた詩を読んだら、日本の歌が聴きたくなった。明るい内は友部正人を聴いて、暮れてきてから浅川マキを聴こうとした。油性ペン書きの「灯ともし頃」の貧相なCD-R盤をかけたが、鳴らない。原盤は水害で汚れて捨てたから、「灯ともし頃」は聴けなくなっていることに気づいた。冷たい夕暮れに、物憂げな「センチメンタル・ジャーニー」が聴きたかった。仕方がない。代わりにこの「裏窓」を引っ張り出した。

 ただ「灯ともし頃」が聴きたかったというだけで、このアルバムが「灯ともし頃」以下と言っているのではない。それどころか、浅川マキの最高傑作がこの「裏窓」だと思っている。いや、1970年代に作られた日本語の歌のアルバムで、三指に入るとまでに、ずっと思ってきたアルバムである。

 1曲目、乾いたギターの音が8ビートを刻んで「こんな風に過ぎて行くのなら」が始まる。「あんたは去ってしまうし、あのこもあっさり結婚 今夜ほど寂しい夜はない・・・」。後年ジャズへ、さらには厳しいフリー・ジャズの世界へと進む浅川マキだが、8ビートも悪くない。

 2曲目、寺山修司の詩で「裏窓」。乾いた演歌という感じだ。間奏に入る市原宏祐のかすれたクラリネットがいい。

 そして3曲目、強烈な印象を残す「あの男が死んだら」。歌詞も強烈だが、ミルドレッド・ベイリーのヴァージョンをそっくりそのままアコースティック・ギター2台に置き換えたアレンジが冴え渡っている。

 それから南里文雄のトランペットがじっくり聴けるライブ・テイク「セント・ジェームス病院」と「ロンサム・ロード」に進む。ぼくは高校時代に、このアルバムでこの有名なスタンダードを知った。特に「ロンサム・ロード」が大好きだ。これもミルドレッドが歌っている。

 B面に入って「引越し」。「今日この部屋に西陽が当たりました 近い内にこのアパート出て行く せめて前の家のあの少年にだけは気づかれぬように・・・」。本人の作詞作曲だが、いいですねえ・・・。

 さらには「トラブル・イン・マインド」。歌詞がシビアすぎて、知人が鉄道で亡くなってしばらくは聴けなかったが、ゆったりとしたビートに乗って、寂しげなマキの声と、よく歌うアコースティック・ギターが重なって魅力的だ。ギタリストはこの時代の浅川のアルバムの常連だった萩原信義。ネットで見ると、このアルバムを聴いてこのギタリストが印象に残ったのはぼくだけではないようだ。

 次のロック調の「翔ばないカラス」は、名曲ばかりのこのアルバムの中では一番落ちる。ラストの山下洋輔が曲を付けた「ケンタウロスの子守歌」も今一つだが、その間に挟まれた「町の酒場で」がいい。これも間奏にサックスが絡むが、演歌から臭みを抜いたような味わいだ。

 これだけ優れたアルバムがまだ単体ではCD化されていないとは、どんなに書き並べても魅力を伝えることができないようで、つくづく残念でならない。 
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YouTube 浅川マキ 「引越し」

by pororompa | 2008-10-26 22:57 | 音盤的日々 | Trackback | Comments(0)

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