【音盤的日々 190】 NEIL YOUNG / PRAIRIE WIND
2008年 09月 28日
だが、時代とともに音楽鑑賞の方法も変わるのか。大金を使わなくても、その瞬間だけでも濃厚な世界へと引き戻してくれる、そういう仕組みがすでにあったのである。DVD付きのこのアルバムで、映像の力を借りて、久しぶりに深い衝撃と感動を味わった。
タワー・レコードでジャズの棚に欲しい物もなく、帰ろうとする直前にバーゲンの棚で見付けたのがこれだ。バーゲンで売られる物とは思えないが、DVD付きで高過ぎて売れ残ったのだろう。半額で買ってきた。
1枚は普通のCDで、もう1枚がDVDになっている。これを映してみて驚いた。全曲のレコーディング風景が収められているのである。しかもプロジェクターでスクリーンに大写しにして、音もオーディオ装置に繋いだので、一気にスタジオにご招待だ。部屋は暗いし、画面は最高だし、音もいいし、その世界にいきなり引き込まれてしまう。シンプルな音楽だからついギターまで持ち出して弾いてしまった。恐れ多くも御大と「共演」している気分だ。
この映像の助け無しにこの音楽だけ聴いても、聞き流してしまっただけかもしれない。全体は柔らかいアコースティック・サウンドで、曲もやや淡泊、昔のニール作品のようなインパクトには欠けると思えただろう。だがこの映像が、そんな聞き流しを拒否して、ニールの側まで連れて行ってくれる。
DVDには、CDと同内容ながら高音質のオーディオまで付けてくれている。なるほど、これはCDの方がおまけだったのだ。新しい時代の音楽の聴き方を、ニールが示してくれたような気がする。
by pororompa | 2008-09-28 15:55 | 音盤的日々 | Comments(0)