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semスキン用のアイコン01 【音盤的日々 185】 TOM PAXTON / I CAN'T HELP BUT WONDER WHERE I'M BOUND : THE BEST OF TOM PAXTON semスキン用のアイコン02

  

2008年 08月 28日

e0006692_0125717.jpg 週明けだというのにこの2,3日は、今年の夏休みの中で精神的に最も平安な日々を過ごした。教育関係の集会がすんで、そのまま曲に没頭し、やっと日曜日にできた。そして、この週末にはまた大きな会を主催しているし、いよいよ学校も始まる。その狭間が昨日や今日であったわけだ。

 真夜中に、トム・パクストンを静かに聴いている。60年代から活躍する、アメリカン・フォーク・シンガーであり、優れたソングライターでもある人だ。この人を聴いていると、日本の「フォーク」のはしりの時代に、いかに大きな影響を与えた人かがよく分かる。

 まず、アルバム・タイトルにもなっている1曲目、これが岩井宏の「30才」と同じ曲だ。トラッドでもないんだからこれはまずいだろう。最初聴いた時は驚いたし、それまで好印象を持っていた岩井宏の評価が下がった。でもすごくいい歌である。それから、岡林信康や高石友也で有名になった「ランブリン・ボーイ」、これはちゃんとトム・パクストンの作とことわってあったし、それでぼくもパクストンを知ったのだった。フォーク少年時代に何度も歌ったこの歌がかかると、思わずギターを手に取ってしまう。子どもの歌として有名になったにぎやかな「動物園へ行こう」もこの人だ。さらには、若い頃の久保田真琴がURCに吹き込んだ、石原慎太郎や某宗教団体をおちょくった内容の、「昭和元禄ほげほげ節」と曲が同じのもある。これも久保田の作曲となっているが、ほとんど同じ曲だ。たぶん日本フォークがコピーから自作へと発展しようとする時期に、バイブルのように聴かれたのだろう。そういった興味からも面白い。

 しかし、何と言っても一番好きなのは、「The Last Thing On My Mind」。名曲だ。PP&Mの歌で知っていたが、本人の弾き語りも味がある。You Tubeに投稿されている若い頃のこの演奏も観た。この歌は世界中で愛されているようで、You Tubeで検索するといろいろな素人の弾き語りが観れて面白い。

 「Are you goin' away with no word of farewell?」というリフが美しいこの歌は、去ってしまった人を想う恋歌である。「It's a lesson too late for the learnin'~」という歌い出しも好きだ。「学ぶには遅すぎたレッスン…」、分かる気もする。去っていったというのはこの世から消えたということなのか、それとも単に自分から去っていったという意味なのかよく分からないが、とにかく去り行く人への想いがしみじみと伝わってくる。キーが低く、最高音がBまでしかない。声を張り上げる歌ではないのだろう。

 日本では、笠木透さんが「この想い」という題で訳されている。「私の子どもたちへ」などで知られ、「私に人生と言えるものがあるなら」の訳詩も書いている笠木さんなら、この詩を訳すのにふさわしいし、この歌を選ぶ所が笠木さんだという感じがする。「空が青すぎるのだよ 君はもういない 何も変わらないのに 君だけがいない…」。いいね。格調がある。メロディの流れにちょっと合っていない所もあるが、原曲の味をこわさない、心に沁みる歌になっている。

 詩が何よりも大切なこの種の歌は、鑑賞用として聴くには、英語の力が不足している。星半分引くのは自分の問題であって、もしこの言葉を話す身だったらぼくも五つ星の感動を得ていたに違いない。そういう意味ではこれからもまだまだ発見がありそうな盤だ。
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by pororompa | 2008-08-28 00:50 | 音盤的日々 | Trackback | Comments(1)

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Commented at 2008-09-04 13:33 x
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