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semスキン用のアイコン01 【音盤的日々 174】 THE MODERN JAZZ QUARTET / PYRAMID semスキン用のアイコン02

  

2008年 06月 07日

e0006692_16283685.jpg ぼくが初めて聴き通したジャズ・レコードがこのアルバムである。このアルバムについて書く時は少し構えて書かなくてはならない。

 青年期。この黄色いジャケットが、まるでジャズの世界の入り口の扉のように思えた。今まで聴いてきた音楽とは別の世界。苦いようで甘いようで、酒のようだった。よく分からなかったが魅惑的で、聴くほどに引き込まれていった。

 1曲目、「ヴァンドーム」。2分半の、ジャズにしては短い、言わばアルバムのオープニング。いろいろ聴いて後に思ったのだが、ルイスのバッハかぶれの作品の中では一番ジャズを感じる曲だ。

 2曲目、「ピラミッド」。素晴らしい。10分以上にわたってじっくり聴かせるこの曲がアルバムのハイライトだ。スロー・ブルースなんだが3拍子。ブルースのワルツというだけでも珍しいが、アドリブに入っても4ビートにならず、ずっと3拍子のままスウィングしてゆく。ゆったりとしてコクのある濃い流れに、ずるずると引きずり込まれる。レイ・ブラウンが、マヘリア・ジャクソンを聴いた感動を曲にしたものだという。それをミルト・ジャクソンが演奏するんだから濃いはずだ。この濃さに青年時代のぼくは酔った。

 3曲目はエリントンの「スウィングがなければ意味がない」。テーマを早送りみたいな変なアレンジでやっているが、悪くない。アドリブに入ると軽快にスウィングする。

 4曲目、LPで言えばB面の頭が有名な「ジャンゴ」であった。MJQの「ジャンゴ」もいろいろ聴いたが、ヨーロピアン・コンサートが一番のでき、その次がこれだろう。

 ここまでは名演続きだが、次の5曲目「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」だけはよく分からない。普通はアップ・テンポで軽快に演奏されるこの曲を、テーマさえよく分からないほど崩したスロー・ナンバー、しかもバックはベースのアルコ弾きだけという演奏が初めの3分ほど続く。いやな演奏ではないが、とっつきにくい印象は今でもある。

 ここで終わっても全体としてこのアルバムに五つ星を与えていただろうけれど、最後の一曲が何とも心に沁みる名曲、名演だった。ジム・ホール作曲の「ロメイン」。甘くて苦い酒に、ロマンチシズムというソーダを注ぎ込んだような演奏だ。今でもこの曲を聴くと、脳の中で泡が弾ける。ジャズの入り口が大人の入り口だった。
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by pororompa | 2008-06-07 17:21 | 音盤的日々 | Trackback | Comments(0)

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