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semスキン用のアイコン01 【音盤的日々 153】 RY COODER / MY NAME IS BUDDY semスキン用のアイコン02

  

2008年 01月 12日

e0006692_209179.jpg こいつは凄い。今になってこういうものを出すとは正直驚いた。「ブエナビスタ」の活躍はうれしかったが、ご本人は所詮脇役だったし、その前は映画音楽の人だった。それが全編歌いまくっての新作である。それだけでも驚きなのに、予想を大きく上回るできばえなのだ。

 まずはこのジャケット!猫好きなら素通りできない強烈な面構えのやつがドーンと鎮座している。これだけでも買う気になるのに、中身だけで厚さ5ミリ近いブックレットが付いている。日本盤には完全対訳の32Pブックレットまで別に付いている。表紙は分厚いハードカバーのデジパック仕様で、全体の厚さが13ミリもある。ライ・クーダーのこの作品にかける並々ならぬ意気込みが伝わってくるのである。

 そしてその中身を開いてまた驚いた。「我が輩はバディ」と名乗る赤猫が、アメリカを放浪するという筋立てと聞いていたのだが、この「赤猫」、茶トラなんてかわいいものではなく、なんと思想的に「赤猫」なのであった。しかも相棒の鼠の名前が「レフティ」。行く先々で組合運動を応援したり、弱者を励ましたり、人種差別主義者に迫害されたりしながら旅を続ける。ジョー・ヒルだ、ポール・ロブスンだ、ピート・シーガーだと、分かる人には分かる名前が続出する。

 さて、肝心の音楽はどうかと思ったら、これが素晴らしい。古いアメリカン・フォークの世界が、瑞々しい音でいきなり飛び出してきた。単純素朴な音楽だ。あまり洗練されていては面白くない種類の音楽。それを、ものすごくうまい連中がやっている。うまいけれどもその味わいをよく分かっている連中が、余裕を持ってやる、その音の凄さ。そして味わい深さ。曲はライの作ということになっているが、基本的に素朴な民謡調で、それがたまらなく心地よい。ピート・シーガー本人までバンジョーで出てきた。

 ようやく分かってきた。これは猫に形を借りた、アメリカン・フォーク・ソングへのオマージュだ。ウディ・ガスリーの昔から、社会の矛盾を歌い、弱者に目を向けながら歌い続けてきたフォークの先達に対する、ライの精一杯の敬意の表現なのである。このテーマなら手は抜けないとばかりに、渾身の力を込めて作ったのだろう。まさに傑作。一大傑作ができあがっている。ひょっとして最高傑作かもしれない。聴き終わる頃には涙が出てきた。ライ・クーダー健在。
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by pororompa | 2008-01-12 21:56 | 音盤的日々 | Trackback | Comments(4)

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Commented by hyu at 2008-01-14 18:43 x
ブログを読み終えてすぐ,迷わず買いに出かけました。音楽を聴きながらブックレットをめくって,ガーン!・・・英語。「対訳」という言葉を見落としていました(ちょっと考えればわかることなのに)。辞書を引き引き,ゆっくり読むことにします。今,流れている曲・・・オキナワ?
Commented by pororompa at 2008-01-15 18:51
hyuさん、それって輸入盤ですかね。国内盤なら対訳の別冊が付いてますよ。だからぼくも、高くても国内盤買いました。
沖縄みたいなのは、ライは沖縄音楽にも興味があり、喜納昌吉のアルバムにも参加していますからそれで使ったんでしょう。「ヘタウマ」系のライの声は好き嫌いは分かれるかも知れませんけど、ぼくは昔から好きです。
Commented by Blacksmoker at 2008-01-17 10:21 x
はじめまして。TBありがとうございます。

素晴らしくて何度も何度も聴いてしまいますね。英語がダメなんでこの日本語解説&対訳はほんと嬉しいです。実にイイ仕事だと思います。日本盤というのは本来こういう姿であるべきですね~。

あと90年代以降のライって実は素晴らしい仕事してますよね。メキシコ音楽に接近した「チャベス・ラヴィーン」も大好きです。ライがプロデュースしたMavis Stapleの「We'll Never Turn Back」も是非!
 
Commented by pororompa at 2008-01-17 20:29
Blacksmokerさん、わざわざありがとうございます。
その2作は私も気になっています。そっちからちゃんと聴いていれば今回もそう驚かずに済んだかもしれませんね。