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semスキン用のアイコン01 【音盤的日々 149】 CHARLES MINGUS / BLUES & ROOTS semスキン用のアイコン02

  

2007年 12月 16日

e0006692_0463767.jpg 苦い。苦くて濃い。そして旨い。上質のブラック・コーヒーのようだ。これを聴くと自分の中のある部分が共鳴する。それは小さな子どもを相手にするという職業柄、あまり表には出てこなかった部分。むしろ若い頃には露わになっていた部分が刺激される。若い頃の知り合いがぼくが小学校の教員をしているのを知ると、誰も意外そうな顔をしたものだ。ぼくは太陽の下で子どもたちと戯れているより、地下室でコーヒーの香りとジャズの響きに包まれている方を確実に好んだ。

 そうは言っても今の仕事に無理して順応しようとしてきたのではなくて、無理なく溶け込める部分も自分の中にはあったのだろう。誰でもそんな多重人格的な要素を持ってるのではないか。そうして人生の中で自分に回ってきた役割に合わせて、ある部分だけがデフォルメされ、状況に適応しながら日々を生きていく。それに合わない資質は、発芽しない種子のように自分の中に隠れている。そして何かの拍子に顔を出す。

 ミンガスという人をあまり聴いて来たわけではないが、ミンガス・ダイナスティを聴いて興味が湧き、このアルバムを買ったように記憶する。そしてこのアルバムの印象もまたよかった。「ワークショップ方式」というスタイルで進めたというが、この音楽を聴けばすぐ理解できる。ただテーマをやって順番にソロを取るというのでなしに、緊張を孕んで、一斉に攻め込んでいくような音楽だ。譜面に冷静に書いたアンサンブルでなく、口伝えで教え、合わせながら作り上げていったような音楽だ。ソロの裏で各楽器が煽り、かけ声まで飛び交って渦を巻くように盛り上がっていく。

 恐らくここに参加したソロイスト達は、自分のアルバムよりもいいプレイをしているのではないか。強烈なリーダーの気迫に応えて、あるいは渦のようなアンサンブルの中で、それぞれのメンバーのよい部分がソロに引き出されているのではないか。それでも音楽は聴き手を拒絶せず、メロディは温かさを失わない。よく歌い、人懐っこい。聴いた後に深い満足感がある。

 だがぼくはこの後次々にミンガスを聴くという風には進まなかった。その重いブルース一色には染まらなかった。それだからこの仕事をやれているのではないかという気もする。

 考えてみると、ぼくは、昔はコーヒーはブラックで飲まなかった。砂糖少々、ミルク無し、「君は『有り無し』ね」と、行きつけのジャズ喫茶のマスターは、そう確かめながらコーヒーを出してくれていたものだ。
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by pororompa | 2007-12-16 01:24 | 音盤的日々 | Trackback | Comments(0)

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