【音盤的日々 110】 GEORGE LEWIS / 1943~45
2007年 05月 06日
しかしそのA面が素晴らしい。ジョージ・ルイスの自宅で友人達を前に録られたものだという。港湾労働者としての日常から、突然ジャズ・マンとして脚光を浴びてのレコーディングだったようだ。ルイスのクラリネットに、ベースとバンジョーだけのシンプルな伴奏。でもそれだからこそ素朴な歌が余計に浮かび出る。一般にぼくは、ジャズに限らず、大編成になるほど苦手で小編成に好きなものが多い。
1曲目、「波濤を越えて」。ぼくがこの作品とどうして出合い、なぜ買ったのか思い出せないのだが、ラジオか何かでこのワルツが流れて来たのだろう。オープニングのこのワルツを聴けば今でもすぐに買い求めるに違いない、それほど魅力的な、胸に沁みる調べだ。「アロハ・オエ」を崩した「ニュー・オーリンズ・フラ」も、アドリブ・フレーズが一緒に歌えるくらい印象に残っている。
ジャケットから面白いものが出てきた。買った店の「品質保証書」だ。店がそんなものを出すなんて聞いたことないが、名古屋サカエチカの「音楽堂」で買ったことは間違いない。昭和54年1月2日の日付印がある。当時は駅前の「ヤマギワ電器」かこの「音楽堂」で買っていた。今もあるのか知らないが、両方ともいい店だった。金のない学生時代なので、考えに考えて買い、一枚一枚をじっくり聴いたものだった。貧乏学生のぼくは、22歳の正月に、この妙なるクラリネットの調べに耳を傾けていたわけだ。
by pororompa | 2007-05-06 12:25 | 音盤的日々 | Comments(0)