こんなピンコに誰がした
2005年 07月 24日
この猫は近所に生まれた子猫から適当に選んできたのだが、これがとんでもない猫だった。恐ろしく凶暴な猫なのである。我が家の中でピンコにケガさせられたことがない者は一人もいない。娘などは小さい頃は襲われてさえいた。突然ダッシュして来て足などを噛んで逃げるのである。ぼくなんかも今でも機嫌が悪い時は側を通るだけでいきなり叩かれたりする。とにかく気性の激しい猫だ。
だから避妊手術なんかは大変であった。「ちょっと激しい猫なんですが…」とぼくらが言っても、ベテラン獣医さんは「大丈夫よ」と相手にしなかったが、手術が終わって戻ってみると、ピンコは恐れていたとおり怒りまくりの荒れ放題。獣医さんは「激しいなあ!」とあきれ果てて目を丸くしていた。たくさん猫を見てきた獣医さんが驚くような猫なのである。
死んだぼくの母も、どんななつかない野良猫でも手なずけた「猫使いのばあさん」みたいな人だったが、この猫にだけは手を焼いていた。「こんな猫は見たことがない」と言っていた。
この猫がこれだけ凶暴なのは、生まれつきそういうたちだと思うのだが、我が家では「後天的要因説」が根強い。特に「父虐待原因説」というのがあって、主に妻と娘がとなえている。この猫がまだ子猫の頃、二階に上がってこないようにするためにぼくが脅かしたところ、慌てて階段を転げ落ちるように逃げたことがあった。それがトラウマとなってこの性格が形成されたというのである。
この猫は、猫的には優秀であったようで、狩りもうまく、子育てなんかも実に立派にやり遂げた。お乳も餌もしっかりやり、子猫を外敵から守るのにも目を光らせていた。外敵とまちがえられて妻は足に激しいケガをしたぐらいだ。
それでも我が家でピンコを悪く言う者はいない。初代猫として特別待遇を受けている。ケガさせられたら、それはそいつが悪い。ピンコの性質を理解せず迂闊な行動をしたせいであろうということになっている。
そのピンコも、猫エイズを患いつつも10年生き延びたが、さすがに勢いは弱くなっている。たまに狂ったように家中を走り回る以外は、若い頃の激しさはもうなくなった。
by pororompa | 2005-07-24 15:04 | 駄猫列伝 | Comments(0)