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semスキン用のアイコン01 【音盤的日々 237】 山下洋輔 / PLAYS GERSHWIN semスキン用のアイコン02

  

2009年 09月 05日

e0006692_18145544.jpg 自分の書き込みを読み返すと、9月の初めのこの時期は意外にジャズを聴いていることが多い。体力的にはきつい時期なのだが、秋を感じ始めるとジャズのスイッチが入るのだろう。今年も火曜日がスタートなので、アップアップしながら何とか泳ぎ着いたようにして土曜日を迎えた。明日は日曜日とは言っても早朝からPTA奉仕作業があるし、仕事も少しは進めないといけないので、今日は何も考えずに休むことにする。

 8月の終わりから読んでいた「山下洋輔の文字化け日記」を読み終わる。そのBGMで流していた「スパイダー」が、前に聴いた時よりもずいぶんよく聴こえたので、もう一枚持っていたこれを引っ張り出したのだった。

 前に聴いた時いいと思わなかった盤の印象が、後で変わることはそれほどないものだ。今回は音質や共演者も含め、いろいろ前より印象がよくなっていたのはなぜだろう。特に時々出る山下流のとち狂い方が気持ちよい。これは聴く側としては精神的に好調ということなのだろう。

 もちろん、「とち狂い」どころではなく、ほとんどガイキチ的なフリー・ジャズで名をなしたこの人だから、どんなに乱れても昔に比べればおとなしいものである。考えてみると、ベテランとなった山下洋輔にとって、自分の芸をどう発展させていくかはなかなか難しいものがあったに違いない。美しく弾いたら「軟弱になった」などと言われただろうし、時に暴れてみせても、「肘打ち」だとか「ピアノを叩き壊した」とかが日常的だった昔と比べて「まだまだ物足りない」と思われてしまうだろう。

 ぼくはそんな山下の激しかった時代を、面白いとは感じていたが、音楽としては楽しめなかったのでレコードは1枚も持っていない。ただ、強烈なエッセイだけは大ファンでほとんど持っているし、何度も読んだ。そこで見られる彼の素顔は、機知に富み突飛なことに走りたがる、いかにもフリー・ジャズの演奏家としての面と、理性的で穏やかな学究肌の面がうまく溶け合ったような、魅力的な人物である。

 そしてもう一つ、ぼくが山下洋輔を好きになってしまうのは、彼が強度の猫好きであるということだ。半端ない、モノホンの猫好きである。今回の「文字化け日記」でもそれが感じられて楽しかった。

 このアルバムは、1989年の録音。ベースはセシル・マクビー、ドラムはフェローン・アクラフ。現在も続く「山下洋輔・ニューヨーク・トリオ」である。ガーシュイン集だから、全体にメロディを活かして美しく弾いているが、時々ドラムに煽られるとたまらず走り出す。唯一ガーシュイン・ナンバーでない急速調「マイ・フェイバリット・シングズ」ではかなり暴れるが、しっかり向かい合いながら聴くと爽快だった。音も良い。

 それにしても山下もエッセイの中で怒っていたが、「セシル・マクビー」のを勝手に借用した洋服ブランドがあるという話には驚いた。セシル自身も怒って裁判に持ち込んだが、敗訴したようである。セシル・マクビーと言えば昨日今日出たようなミュージシャンではない。ぼくのように、洋服は知らないがその名前のベーシストは知っている者も数多いだろう。アーティストを愚弄しているというのが分からないのか。

 セシル・マクビーのベースの音は、しっかりジャズの音をしていた。「山下洋輔・ニューヨーク・トリオ」を、もっと聴いてみたくなった。
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by pororompa | 2009-09-05 19:20 | 音盤的日々 | Trackback | Comments(0)

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