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semスキン用のアイコン01 【音盤的日々 222】 小田和正 / 伝えたいことがあるんだ semスキン用のアイコン02

  

2009年 04月 10日

e0006692_21584245.jpg 新年度が始まり、新しい子どもたちとの出会いがあり、楽しいけれど目まぐるしい一週間が終わり、子どもたちが帰った。静まりかえった教室で、呆けたように深々と腰かけ、窓から外を眺めた。春光は注ぎ、空は青かった。急にいろんな思い出がフラッシュバックした。いろいろなことがくるくると変わる季節は、心も疲れている。その時、心の中に湧き上がってきた歌は、小田和正だった。

 日本のポピュラー音楽の作り手としても、歌い手としても、最上の階層にいる小田和正の、これはシングル・コレクション。しかしこのジャケットはなあ…。元々そういう方面のセンスは感じられない人だが、これはとりわけひどい。女性には受け入れられるのか知らんが、このジャケットじゃ男は買わんだろう、普通。

 だが中身を聴けば、ポップス職人小田の、努力と才能とこだわりの結晶のような上質な作品が並ぶ。特に後半がよい。"all songs written & arranged by KAZUMASA ODA"と書かれているが、普通「シンガー=ソングライター」と言っても、作詞・作曲してちょっとギターを弾きながら歌うぐらいで、ここまで徹底的に編曲までする人はあまりいないんじゃないだろうか。この対位法的なバック・コーラスや、凝ったイントロなどを聴いていると、甘い歌の向こうに、細部まで作り込んでいく厳しさが見えてくる。

 こういう、純粋に音楽家のような人は、おそらく詞が一番苦手なのではないのだろうか。小田も、詞で苦労した話をあちこちで述べているが、「悪い曲を詞で救えても、その逆はない」と言っているのは興味深かった。これは詞にも真剣に向かい合っていることを表しており、一見少女漫画のようにしか見えない歌詞も、よく読むとシビアなリアリズムが流れていたりしてはっとさせられる。例えば、ご存知「あの日あの時あの場所で君に会えなかったら、僕らはいつまでも見知らぬ二人のまま」というフレーズも、全部三連符というアイデアの冴えたメロディーを歌いながら、ふとそのリアリティに気付かされるのだ。
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by pororompa | 2009-04-10 22:47 | 音盤的日々 | Trackback | Comments(0)

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